
スタックの意味がわからなくて困っているプレイヤー
「スタックってなに? 全く分からないから1から教えて!」
こんな疑問を解決します!
- スタックは能力の処理するためにある領域
- 同時にスタックに乗る場合は、APNAP順に決める
- スタックを用いない処理もある
こんにちは! MTGプレイヤーのナツメ(@natsume_717b)です。
今回はMTGの中でもいまいちわかりにくいスタックについて解説していきます。
全く分からないなんて方のために1から説明しましたので、この記事を読めばスタックに関して一通り理解することができます!
それでは、さっそく見ていきましょう!
スタックは能力の処理するためにある領域

そもそもスタックとは領域の1つです。
領域とはカードやトークン、紋章などのオブジェクトを置く場所の事ですね。
ではスタックはどんなオブジェクトを置くのかというと、これから能力や効果を処理しようというカードや能力を置く場所になります。
呪文を唱えたり能力を起動(誘発)すると、それらは一度スタックに移動します。
普段何気なく呪文を唱えていても、それは一度スタックに移動しているということですね。
さらに言うとスタックには順番の概念があり、その順番は上下で表されます。
新しく唱えられた呪文や起動された能力は、必ずスタックの1番上に置かれます。
そして、スタックにあるカードは1番上から解決していきます。
これに関しては、積み上げた積木が崩れないように上から取り除いていくイメージをすると分かりやすいです。
下から取ると崩壊してしまいますからね。
というわけで一旦ここまでの情報を整理しましょう。
- スタックはこれから処理する呪文や能力を置く場所
- 呪文を唱えたり能力を起動、誘発すると、自動的にスタックに移動する
- スタックには順番があり、新しいものが上に乗る。
そして、1番上から解決していく
といった感じですね。
ここからは具体的な例を挙げて話しましょう。
「星界の騙し屋、ティボルト」と「否認」です。
「星界の騙し屋、ティボルト」は強力なプレインズウォーカー。
そして、「否認」は非クリーチャー呪文を打ち消せる呪文ですね。
![Tibalt, Cosmic Impostor / 星界の騙し屋、ティボルト (5)(黒)(赤) 伝説のプレインズウォーカー — ティボルト(Tibalt) 星界の騙し屋、ティボルトが戦場に出るに際し、あなたは「あなたは星界の騙し屋、ティボルトによって追放されたカードをプレイしてもよく、それらの呪文を唱えるために任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。」を持つ紋章を得る。 [+2]:各プレイヤーのライブラリーの一番上のカードをそれぞれ追放する。 [-3]:アーティファクト1つかクリーチャー1体を対象とする。それを追放する。 [-8]:すべての墓地からすべてのカードを追放する。(赤)(赤)(赤)を加える。 5](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_lossy,ret_img,w_217,h_309/https://natsumake.com/wp-content/uploads/2021/02/bandicam-2021-02-09-12-31-53-167.jpg)
伝説のプレインズウォーカー
星界の騙し屋、ティボルトが戦場に出るに際し、あなたは「あなたは星界の騙し屋、ティボルトによって追放されたカードをプレイしてもよく、それらの呪文を唱えるために任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。」を持つ紋章を得る。
[+2]:各プレイヤーのライブラリーの一番上のカードをそれぞれ追放する。
[-3]:アーティファクト1つかクリーチャー1体を対象とする。それを追放する。
[-8]:すべての墓地からすべてのカードを追放する。(赤)(赤)(赤)を加える。

インスタント
クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
自分が「星界の騙し屋、ティボルト」を唱えた時に、対戦相手が「否認」を唱えて打ち消したとします。
この時に起きていることを詳しく書き出すと
- 「星界の騙し屋、ティボルト」を唱えたことで、「星界の騙し屋、ティボルト」はスタックの1番上に乗る。
(スタックが空なので上も下もないが、ともかくスタックに乗る) - 優先権が対戦相手に移り、対戦相手がインスタントなどの優先権を得ている時に唱えられる呪文を唱えられる状況になります。
そこで、対戦相手は「星界の騙し屋、ティボルト」を打ち消そうと「否認」を唱えました。 - この「否認」も呪文なので、当然スタックに乗ります。
スタックに乗る際は1番上に乗るので、「星界の騙し屋、ティボルト」の上に「否認」が乗ることは分かっていただけると思います。 - 今回の例では、上記の2つの呪文のやり取りなのでここでお互いに優先権をパスします。
お互いにパスするとスタックの1番上から解決していきます。 - スタックは1番上から解決していくので、まずは「否認」を処理をします。
つまりは「星界の騙し屋、ティボルト」を打ち消すということですね。
(打ち消された呪文はスタックから取り除かれ、墓地に送られる) - 処理が終わった「否認」はスタックから取り除かれます。
- 次は「否認」の直下にあった「星界の騙し屋、ティボルト」の処理をするはずなのですが、「否認」によって打ち消されているために処理することができません。
となります。
今回は打ち消される状況でお話をしましたが、「否認」の部分が打ち消し呪文ではなければ「星界の騙し屋、ティボルト」は無事に処理されて戦場に出ることになります。
というわけで、スタックがどのような領域なのか分かっていただけたかと思います。
次の項目からは少し変則的な点についてお話していきます。
能力もスタックに乗る
先ほど例に挙げた「星界の騙し屋、ティボルト」、「否認」はどちらもカードです。
しかし、スタックには能力が乗ることもあります。
というのも、起動型能力や誘発型能力はスタックを用います。
起動型能力や誘発型能力については、起動型能力は相手ターンにも使えます!【MTG】や誘発型能力を打ち消すことができるのは、一部のカードだけ!【MTG】で知ってもらうとして、能力がスタックに乗ることについて説明していきます。
今回は上陸を持っている「水蓮のコブラ」でお話していきます。
上陸とは、自分で土地を戦場に出すたびに誘発される能力ですね。
「水蓮のコブラ」は上陸するたびに、マナを加えます。

クリーチャー
上陸 ― 土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、好きな色1色のマナ1点を加える。
先ほどのように説明すると
- 土地をプレイする。
(土地を出すことはスタックを用いない) - 土地が置かれたことに「水蓮のコブラ」が反応して、能力を誘発する。
この能力はスタックに置かれる。 - お互いのプレイヤーが、他のカードや能力を使わずにパスすれば、「水蓮のコブラ」の能力が処理されて好きな色のマナを1つ加えます。
となります。
起動型能力も同様に、起動コストを払うと起動した能力がスタックに乗ります。
①でコストを支払って、②で能力がスタックに乗るといった感じですね。
ちなみに常在型能力はスタックを用いません。
これは常在型能力が常に能力を発揮しているからですね。
というわけで、起動型能力や誘発型能力はスタックに乗ります。
おまけ:スタックに乗る情報について
能力がスタックに乗る場合は、その能力のテキストだけがスタックに乗ります。
カードの場合は、そのカードが持つ特性すべてがスタックに乗ります。
これはどういうことなのかというと、特性というものを理解する必要があります。
特性とはカードに書かれている情報だと思えばOKです。
要するに、名前やカード・タイプ、マナ・コストなどですね。
109.3. オブジェクトの特性とは、名前、マナ・コスト、色、色指標、カード・タイプ、特殊タイプ、サブタイプ、ルール文章、能力、パワー、タフネス、忠誠度、手札補正子、ライフ補正子のことである。オブジェクトはこれらの特性の全てを持つこともあるし、一部だけを持つこともある。それ以外の、カード、呪文、パーマネントに関する情報、例えば、パーマネントがタップされているかどうか、呪文の対象、オブジェクトのオーナーおよびコントローラー、オーラが何にエンチャントしているか、などは特性ではない。
出典:マジック総合ルール(和訳 20210202.1 版)
能力がスタックに乗る場合は、能力そのものだけがスタックに乗ります。
なので、マナ・コストやカード・タイプを参照することはあり得ません。
「否認」やクリーチャー呪文を打ち消す「本質の散乱」で能力を打ち消せない理由はこれですね。
カード・タイプを持っていないからになります。
能力を打ち消す打ち消し呪文の場合は、スタックに乗った能力を打ち消せます。
例を挙げると「もみ消し」や「崇高な天啓」などがあります。
そして、カードがスタックに乗る場合、そのカードの持つすべての特性なので、名前、マナ・コスト、色、カードタイプと様々な情報がスタックに乗ります。
ここまで理解する必要は必ずしもあるわけではないですが、覚えておくとちょっとだけ理解に躓くことは減るかなと思います。
同時にスタックに乗る場合は、APNAP順に決める

さて、同時にスタックに乗る状況についてお話していきます。
先ほどまでは順番に処理していく例を挙げていましたが、MTGを遊んでいると「同時にスタックに乗る」ことに出くわすこともあると思います。
そんな時はAPNAP順(アプナップ順)に決めます。
APNAP?と思うかもしれませんが”Active Player, Nonactive Player”の略で、ターンプレイヤーと非ターンプレイヤーの事を指しています。
101.4. 複数のプレイヤーが同時に何らかの選択を行なったり処理したりする場合、アクティブ・プレイヤー(そのターンのプレイヤー)が必要な選択をすべて行ない、そのあとでターン進行順で次のプレイヤー(通常、アクティブ・プレイヤーの左隣に座っているプレイヤー)が必要な選択を行なっていく。選択の終わった後、同時に処理する。このルールは「アクティブ・プレイヤー・非アクティブ・プレイヤー順ルール」(またはAPNAP順ルール)と呼ばれる。
出典:マジック総合ルール(和訳 20210202.1 版)
つまり同時に処理しなくてはならなくなった時にはターンプレイヤーが先に処理をして、その次に非ターンプレイヤーが処理をするというルールになります。
具体的に見ていきましょう!
カードを引いたことをトリガーにする能力を持つ「夢さらい」と「地獄界の夢」を例に挙げます。

クリーチャー
飛行、絆魂
あなたがカードを1枚引くたび、ターン終了時まで、夢さらいは+1/+0の修整を受ける。
夢さらいが攻撃するたび、カードを1枚引く。
カード1枚を捨てる:ターン終了時まで、夢さらいは呪禁を得る。これをタップする。

エンチャント
対戦相手がカードを1枚引くたび、地獄界の夢はそのプレイヤーに1点のダメージを与える。
自分の戦場に「夢さらい」がいて、相手の戦場に「地獄界の夢」があったとします。
そしてタイミングとしては自分のターンを迎えてカードを引いたところです。
この時、「夢さらい」の能力も「地獄界の夢」の能力も、どちらも自分がカードを引いたので能力が誘発されます。
こうなると2つの能力をスタックに乗せなくてはいけませんが、そのタイミングは同時でした。
こういった状況の時に、APNAP順で決められます。
APNAP順に従うと、ターンプレイヤーである自分の「夢さらい」の能力が先にスタックに乗ります。
その次に対戦相手の「地獄界の夢」がスタックに乗るということになります。
解決する順番は上からなので、処理されるのは「地獄界の夢」の能力が先ですね。
ただし、同時に誘発された能力がすべて自分のコントロールしているものだった場合は、自分でその順番を決められます。
405.3. 何らかの効果によって複数のオブジェクトが同時にスタックに積まれる場合、アクティブ・プレイヤーがコントロールしているものが最初に積まれ、それからAPNAP順(rule 101.4 参照)で他のプレイヤーのオブジェクトがスタックに積まれる。1人のプレイヤーが複数のオブジェクトをコントロールしている場合、そのプレイヤーが自分のオブジェクトをスタックに積む順番を決める。
出典:マジック総合ルール(和訳 20210202.1 版)
というわけで、同時に何かが行われる場合はターンプレイヤーから行われます。
これはAPNAP順というルールによって決められています。
スタックを用いない処理もある

最後にスタックを用いない処理について。
呪文を唱えたり、能力を起動するとスタックを用いて処理されますが、そのスタックを用いないことも存在します。
スタックを用いない処理として主なものは以下の通り。
- 土地のプレイ(特別な処理)
- マナ能力
- 常在型能力
このほかにも、ターン起因処理や状況起因処理、投了、効果も含まれます。
ですが、まずは上記の3つを覚えておけばいいと思います。
スタックに乗らないので、上記の行動に対応して呪文を唱えたり能力を使うことはできません。
まとめ
というわけで、お疲れさまでした。
以下が今回のまとめになります。
- スタックはカードや能力の処理をする領域
- スタックに乗る際は1番上に積まれる
- スタックにあるカード(能力)は上から解決していく
- 同時にスタックに乗る場合は、APNAP順によって決まる
- スタックを用いない処理もある
この記事は以上になります。